Live Report ~ 5.15 CLIMBER ワンマンライヴ
2022/05/15(日)に鎌倉にて行われたCLIMBER初のワンマンライブ。
そこは来た人全てが共有できる「愛」や「絆」に溢れた空間となっていた。
筆者はCLIMBERと10年以上の時間を共にしてきた立場であるが故に、多分にバイアスがかった視点があるかもしれないが、その点も考慮しつつ、稚拙な文章を最後までお読みいただければ幸いだ。
「フッド」「レペゼン」…一見すると聞こえのいいものではあるが、ともすれば「地元以外への発信力のなさ・行動力の無さ」に対する言い訳としてこれほど便利な言葉もないであろう。
この男はどうだ?
Deejayとしての活動歴は10年を超え、ストリートすぎる生き様による社会勉強期間以外は絶えず作品をリリースし続け、地元にクラブがあった時代は全国にいる同志たちを積極的に紹介する場を設けていた。
また、近年の社会情勢に対してもそのペースは衰えることがなくリリースを続け、状況の許す限り人前でのパフォーマンスも継続し続けてきた。
地道な活動というのは実を結ぶもので、リリース毎に明確にチャートも上昇を続け、リリースパーティーもその度に地元以外からのオファーを着実に増やして来ていた。
さて、冒頭の話に戻ろう
「フッド」「レペゼン」
この言葉をCLIMBERや周りのものが彼を形容する言葉として口にしたとき、前記のようなネガティブな印象を抱く人間がいるだろうか?
答えは「否」だ
では何故?と問われると、音源を聴きライブに足を運んでもらえれば話は早いのだが、未聴、未見の方に端的に伝えるのであれば「リリックや行動に嘘がないこと」。これが一番大きな要因だと感じる。
筆者が音楽をプロデューサーという立場で作り上げていく際にこの「リリックや行動に嘘がないこと」は非常に重視する点の一つだ。
見せかけのFlexや虚勢は簡単に捲れるしインスタントなヒットは望めても、聞くものの心を強く動かす力はない。1年後、ひどい場合は来週には別の曲に置き換わる程度の曲になってしまうと考えている。
CLIMBERの曲の数々はその点が抜群なのだ。
・仲間を信じること
・夢をあきらめないこと
・地元を愛していること
・◯麻が大好きなこと
その他数多のトピックが、彼なりの言葉でしっかりと綴られている。
もちろん、アーティストとしてはまだまだ発展途上であり多くの改善点は存在している。しかし、真っ直ぐに夢を追う彼のひたむきな姿・言葉に触れた多くの人が、共にその先を見たくなり応援したくなる存在へと成長してきている…常日頃そばにいる身としてそう感じさせられていた。
そしてその想いは「地元の一般層(普段クラブに来ない人)への手売りだけで、前売りを瞬時に売り切った」事実から強い確信へと変わっていった。
本題のライブに入ろう。
当日のフロアは既に人・人・人で皆が思い思いに語り合い、酒を酌み交わしていた。
程よく会場の雰囲気も温まったところで、同じクルー「AK-MOVEMENT」のDeejay「Jr.BONG」が熱いMCで本日の主役を呼び込み、ライブが始まる。
1曲目はMVもYouTubeに公開されている代表曲「まるで雨上がりの後に残っていた足跡のように」。イントロから大歓声が上がり、誇張なしに多くの人が合唱していた。
2曲目、1stアルバムのタイトル曲「My Novels」でも状況は変わらず、どの人も本日の主役に熱い視線と声援を送り続けていた。
正直にいうと筆者はこの時点で泣いていた。
ふと視線を向けると、AK-MOVEMENTの他のメンバーも同様であったようだ。それほどまでに、会場にいる100人強の人々からの熱気がダイレクトに伝わってきていたのだ。
軽いMCを挟み、CLIMBERのストリートライフを綴ったアッパーチューンを立て続けに放り込み、会場のボルテージはますます上がり続ける。
ワンウェイとしてリリースされた通称「ゲリラ Riddim」で本日1組目のゲスト、広島のSanchezこと「DANDIMITE」が登場。CLIMBERの広島修業時代、苦楽を共にした盟友であり、現在は活動拠点を関東へと移している男だ。爽やかな外見から放たれるSweet Voiceが、それまでの熱気をいい意味で切り替え、まさにirieな雰囲気へと一変させた。
このコンビネーションのまま、新アルバム収録の「Vacation」へ。タイトルの通り聞いた人を夏の旅へと連れていってくれる曲はライブでも変わらず聞いている多くが、ビートに思い思いに体を預けている印象的な瞬間であった。
ライブも中盤戦となると、所謂「Gyal Tune」ゾーンへと突入。CLIMBERのそれは多くのギミックが隠されており、一聴するとそのまま女性へと贈られている曲なのだが、聞き方によっては◯麻への深い愛情を歌っているようにも聞こえてくることが印象的だ。
各作品にバランスよく収録されているので、未聴の方にはぜひ一度各種サブスクなどでチェックしていただければ幸いだ。
会場がいい空気感に包まれたまま本日2組目のゲスト、「Jr.BONG」「SHUN」が登場。バックを務める「JIGGY ROCK」の2人、この日は映像班として行動している「TOMI-O」を含めて、久しぶりの「AK-MOVEMENT」揃い踏みとなった。
仲間の晴の舞台を盛り上げる熱い気持ちと、この3人でしか出せない爆発力が相乗効果となり、この日のハイライトの一つとなる盛り上がりを見せる。思い思いに盛り上がる客席を見て、CLIMBERがライブの数日前に語っていた「会場の床が抜けるくらい盛り上げます」の言葉を筆者は思い出していた。
どうしても長丁場のライブとなると客性側からも疲れのようなものが見えてしまう瞬間はあるものだが、この日のライブは一味違っていた。緩急織り交ぜた構成と、語りかけてくるようなCLIMBERのリリックに、多くの人が聞き入って、確実な反応が返ってきていた。
そしてライブもいよいよ終盤戦へ突入する。
CLIMBERの中でもキャリア初期から歌っている歌を立て続けに挟んだのち、この日の会場の場所でもあり地元でもある鎌倉への愛を歌った「カマクライフ」が本日のラストナンバーだ。
地元民からすれば定番のお店や光景が織り込まれたリリックからは、その度に随所から歓声や手が上がる。
「カマクライフ、この街に詰まってる夢と愛」
その言葉になんの嘘もないことが感じられた笑顔と愛が絶えない雰囲気のままLIVEが終了すると、この日一番の歓声が会場と彼を包んだのであった。
さて、改めてあの日の映像を確認しつつこのレポートを記すにあたり、強く確信したことがある。
それはCLIMBERが紛れもない「鎌倉を代表するフッドスター」の一人であり、この成功に満足することなく夢へと向かって歩み続けるミュージシャンであるということだ。
何かに迷った時、勇気が出ない時はぜひ彼の歌を聞いてみてほしい。きっとあなたの心にも何か大切なものを残すことができると思う。
そして鎌倉に来た際は、丸七商店街の天昇で一杯引っ掛けて帰るのもありだろう。
タイミングが合えば彼と仲間の笑顔と美味しいお酒があなたを待っている。
最後に、当日SoundとしてサポートしてくれたTop Choice、DJ NALU、Sound Systemを出してくれたハットン氏、カメラを担当してくれた武田映像企画に大きな感謝を添えて、このライブレポートを終わりとする。
TOMI-O
CLIMBER NEW ALBUM [Freedom Blues] ダウンロード・リンク